薬理学  

(1)医師国家試験の問題をみると「β遮断薬」「ACE阻害薬」のように出題し,具体的な個々の薬品名は出さないようにしています。しかし,看護課程において授業を担当する先生(医師,医学者)が具体的な薬品名は原則として出題しないと公言した場合は別として,代表的薬品名は記憶しておくことが望まれます

(2)ここで記した内容には,多少基礎医学を学んでいる段階を考えると難しいと思われる内容もありますが,臨床上大切な点もあります。ここでしっかり勉強すると,臨床医学の講義を聞くときに理解しやすくなるので,ひとがんばりしましょう。薬理学の教科書に載っていないときは,臨床の医学雑誌を見ましょう。

(3)取り扱う範囲が大きいから,記憶したほうがよい事項の分量も増えてしまいます。


・看護師,看護教員は「医師はすぐ薬に頼る」とか言い,必要な薬剤処方まで悪者扱いする場合があるかもしれませんが,薬剤はその有益性が有害性,欠点を上回る場合に用いられるものです。学生の方は,ぜひとも理性的な判断をしながら,看護教員の話をきいて下さい。

・日常生活指導が重要で有効であっても,それ単独では十分な効果を得るのが難しかったりする場合があります。その場合は,やはり薬物療法が必要となります。過度に薬物以外の方法に依存したり,非現実的な生活指導を強調してはいけません。


記憶すべき薬品名

同一系統内に多数の薬剤がある場合,下記の薬剤を代表として覚える。

・H1拮抗薬 クロルフェニラミン,ジフェンヒジラミン

H2拮抗薬 シメチジン

・プロトンポンプ阻害薬 オメプラゾール

・ACE阻害薬 カプトプリル

・β遮断薬 プロプラノロール

・α遮断薬(降圧薬) プラゾシン

・α遮断薬(尿道抵抗低下作用) タムスロシン

・アンジオテンシンII 受容体拮抗薬 ロサルタン

・Ca拮抗薬(循環器内科) ニフェジピン,ベラパミル この2剤の適応の相違に注意
 長時間作用型のアムロジピン

Class I 抗不整脈薬 プロカインアミド,リドカイン, III群 アミオダロン

・全身麻酔 プロポホール,セボフルレン

・局所麻酔薬 リドカイン

・向精神薬 メジャートランキライザー /クロルプロマジン,ハロペリドール

・抗不安薬  マイナートランキライザー /ジアゼパム

・てんかん治療薬 バルプロ酸,エトスクシミド,フェニトイン,フェノバルビタール

・非ステロイド系消炎解熱鎮痛薬 インドメタシン,アスピリン,メフェナム酸

・HMG CoA還元酵素阻害薬(スタチン薬) プラバスタチン,ロバスタチン

・ビスフォスフォネート エチドロネート

・造血因子 エリスロポエチン Colony stimulationg factor(CSF)

・癌化学療法時の嘔吐治療用のセロトニン受容体拮抗薬 オンダンセトロン

・抗癌化学療法 シスプラチン,エトポシド,アザチオプリン,ビンクリスチン,シクロフォスファミド

 ブレオマイシン,アドリアマイシン

・抗結核薬 ストレプトマイシン,イソニコチン酸ヒドラジド,リファンピシン,エタンブトール

・鎮咳薬 デキストロメトルファン,コデイン

・肥満細胞脱顆粒抑制薬 DSCG,ケトチフェン,トラニラスト

・β刺激薬 イソプレテレノール

・気管支拡張薬 β刺激薬 テオフィリン薬

・L-ドーパ

・ザナミビル

・HIV治療用ヌクレオシドアナログ ジドブジン

・尿酸排泄促進薬 プロベネシド

・スルファサラジン(サラゾピリン)

・ドネぺジル

・シルデナフィル

・ 尿酸合成阻害薬 アロプリノール

・スルフォニル尿素 トルブタミド

・ビグアナイド メトフォルミン

・ニ糖類分解酵素阻害薬 アカルボース

・即効性インスリン分泌刺激薬 ナテグリニド

・抗酒薬 ジスルフィラム,シアナミド

・子宮収縮薬 オキシトシン,プロスタグランディン

・3環系抗うつ薬 アミトリプチリン,イミプラミン

・ヘルペスウイルス治療薬 アシクロビル

・抗真菌薬 アムホテリシンB, フルシトシン

・インフルエンザ治療薬 ザナビミル

・ 免疫抑制剤 シクロスポリン,タクロリムス,他にも一部の抗癌剤


1)非ステロイド系抗炎症薬が阻害する酵素の名称,この種の薬剤に共通する三つの作用

 このホームページの管理者名,消炎・解熱・鎮痛

2)抗菌化学療法薬の系統分類と作用機序副作用--経口抗菌薬では腸管細菌叢に影響を与え,下痢その他の消化器副作用は出やすいことも記憶。出血性大腸炎、偽膜性大腸炎

3)各抗結核薬の副作用--INH, PAS, EB, rifampinくらいは覚える 、必要に応じて内科の教科書も参照する

4)治療係数 の定義

5)薬物血中濃度モニタリングを行なう薬剤,その理由

6)坐剤の特徴 、経口薬との比較

7)薬物の主な代謝臓器と排泄臓器

8)3歳の小児は成人の服用量の何分の一か,小児薬物治療における適応外使用の現実

9)気管支喘息治療薬 抗炎症薬と対症療法的気管支拡張薬,吸入ステロイドを用いる背景

10)疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を列記,これを用いる背景の説明,ステロイドの可否

11)骨粗鬆症治療薬を列記 ,治療効果判定上の注意--骨量測定は精度(正確度と再現性)の関係で一回の測定で判断せず,数ヶ月-年単位の結果で効果判定。骨代謝マーカーは早期に変化するので,効果予測における有効性が期待される。

12)胃酸分泌抑制薬の代表例と作用機序 H2受容体拮抗薬とプロトンポンプ阻害薬

13)癌化学療法の支持療法に用いる薬剤 造血因子と制吐剤

14)各降圧薬の副作用 特にβ遮断薬,利尿薬,ACE阻害薬(アンギオテンシンII受容体拮抗薬との比較),α遮断薬 --α遮断薬の高血圧以外の適応=前立腺肥大ということは・・・

15)プロベネシド投与時の注意

16)非ステロイド系消炎薬の副作用 特に消化性潰瘍と腎障害, 消化性潰瘍に対する予防治療の限界、胎児動脈管への作用(副作用であり、出生後の開存症の治療にも使える)

17)代表的抗癌薬と副作用--ブレオマイシン(肺線維症),アドリアマイシン(ドキソルビシン,心毒性),シクロフォスファミド(出血性膀胱炎),シスプラチン(嘔吐,腎毒性)

18)薬物代謝酵素を誘導する薬剤

19)薬物相互作用 ソリブジンと5FU系抗癌剤、キノロン薬とテオフィリン、その他代表例を幾つか書けるように

20)ワーファリン使用時に食べてはならない食品、ついでにジヒドロピリジン系Ca拮抗薬で相互作用が問題となる食品(有名) 

21)抗血小板薬として用いる時のアスピリンの用量 =アスピリン・ジレンマ--血管内皮のプロスタサイクリン合成と血小板のトロンボキサン

22)炎症性腸疾患治療に用いる薬剤

23)去痰薬の分類と代表的薬剤

24)局麻薬 アミド型とエステル型 代表例を覚える、片方に過敏症があっても、もう片方は使用可能

25)悪性症候群,悪性高熱症

26)癌骨転移抑制に用いる薬剤 ビスフォスフォネート

27)Parkinson病のレボドパ治療継続に伴なう問題点とその対処方法

28)閉経期ホルモン補充療法の利点と欠点 血清脂質,乳癌,子宮内膜癌への影響--子宮摘出例では,黄体ホルモンの併用は不必要

21)スルホニル尿素剤の作用機序

22)抗不整脈薬の催不整脈作用 Cadiac Arrythemia Suppression Trail (CAST)--抗不整脈薬を使うとかえって死亡が増加する可能性を示した有名な研究。抗不整脈薬の催不整脈作用が考えられており,臨床医の不整脈治療の考え方に影響を与えた。

23)心不全へのβ遮断薬の応用,ACE阻害薬の効果,血管拡張療法--β遮断薬の添付文書では心不全に禁忌となっているかもしれないが,実際には・・・

24)3環系抗うつ病の副作用 ,治療継続のためには,予め説明しておくとよい。そうしないと,副作用が出たと服用中断の危険。余裕があればSSRI, SNRIについても。

25)レボドパ以外のParkinson病治療薬

26)アマンタジンの適応疾患--インフルエンザについてはA型のみ有効,また耐性を生じやすい。 

27)抗真菌薬の作用機序

28) CYP450(チトクロームオキシダーゼP450)の型と薬効発現の個体差

29)ナテグリニドの特徴,スルホニル尿素剤と比較して。--即効性インスリン分泌刺激薬。食後の高血糖是正に有効。食後高血糖是正には二糖類分解酵素阻害薬という手段もある。

30)インスリン自己注射時の注意--本当に厳格な無菌操作が必要か,衣服の上からの注射の可否。実際には意外なほどいいかげんでよかったりする。

31) インフルエンザ治療薬としてのアマンタジンとザナビミル(ノイラミニダーゼ阻害薬)--対応のウイルス型と耐性出現の比較、耐性ウイルスの翌年への持ち越しの可能性は?

32)前立腺肥大の薬物治療 抗男性ホルモン治療とα遮断薬の比較--前者は効果発現まで時間がかかる,後者は効果発現は早いが基礎病変の進行により有効な期間は限られる。

33)排尿障害と薬物 抗コリン薬 と α遮断薬の副作用---- どっちが尿閉,どっちが尿失禁,それは何故か

33)ニューキノロン使用上の注意,特に薬物相互作用--テオフィリンとの併用,一部の消化性潰瘍治療薬,非ステロイド系抗炎症薬

34)結核の予防治療に用いる薬剤

35)14員環マクロライドの抗菌作用以外の作用を利用した適応 ,びまん性汎細気管支炎,慢性気道感染症,慢性副鼻腔炎,肺癌,糖尿病性の胃の排出障害

36)バランス麻酔

37)バンコマイシンの適応疾患 MRSA以外には何がある?

38)抗菌薬使用状の注意 耐性菌の出現を避けるには--安易な抗菌薬使用を避ける,定着と感染の区別,対象菌に合わせた狭い抗菌スペクトル薬剤の使用,治療を中途半端にしない(特に結核では大切で,中途半端な治療では耐性菌が出現)

38)HIV感染治療の基本方針 抗HIV多剤併用治療,基本的な方法,問題点,背景(理由)多剤併用によりウイルス増殖を強く抑制し,進行を阻止出来る可能性。CD4陽性細胞増加により,日和見感染症治療の中断の期待も持たれている。しかし,薬物相互作用や副作用のため,継続は必ずしも容易ではない。

39)AIDS日和見感染の治療,予防薬

40)薬剤耐性結核 その背景,理由,AIDSと薬剤耐性結核 --最大の理由は中途半端な治療。

41)内視鏡検査時の鎮静薬投与の可否 検査の快適性を取るか,患者の苦痛を無理な内視鏡操作の反映として重視するか,意見は分かれるだろう

42)C型肝炎とインターフェロン治療 --副作用,失敗時のリバビリン併用下の再投与の可能性

43)薬物による医原性疾患(いわば広義の副作用)-- チクロピジンとTTP,アスピリンとライ症候群、その他内科学教科書の溶血性貧血の項、麻酔科教科書の悪性高熱、抗精神病薬のsyndrome malin(綴りはあってるかな?、仏語、和訳はない)参照、その他NSAIDSとインフルエンザ脳症

44)モルヒネによる癌の疼痛治療を行なう時の副作用対策

45)脳浮腫治療薬

46)アレルギー性鼻炎,花粉症の薬物療法の基本 ステロイド吸入薬の重要性,症状を速やかにとるための抗ヒスタミン薬投与

47)イトラコナゾールによる爪白癬の治療とグリセオフルビンの比較,イトラコナゾール投与時の注意 、爪白癬治療の原則

48)HMG CoA還元酵素阻害薬とフィブラート系薬剤の併用の問題点

49)高トリグリセリド血症の治療薬--基本的にはフィプラート系薬剤 、抗コレステロール血症との区別

50)陰イオン交換樹脂(コレスチラミン)投与時に他の薬剤を内服する際の注意点

51)慢性腎不全 腎性骨症の治療,続発性上皮小体機能亢進の治療,腎性貧血の治療薬剤

52)インターフェロン ウイルス肝炎以外の適応疾患

53)WPW症候群には禁忌の薬剤 ベラパミル,ジギタリスはPSVTだからとむやみに使うと・・・・

54)アムロジピン(長時間作用型Ca拮抗薬)と短時間作用型の比較 反射性交感神経緊張の有無と虚血性心疾患との関連

55)アミオダロンの副作用

56) LH-RHアナログの適応疾患,使用上の留意点

57)抗甲状腺薬を用いる時の留意点--狭心症誘発を避けるには?/無顆粒球症を起こす薬剤と,その薬を用いる時の患者への説明の仕方,母乳中への以降

58)異型狭心症と労作性狭心症の発作予防治療の相違--従来のβ遮断薬はβ2受容体遮断により血管収縮を来すということは・・・

59)下垂体性小人症に対する成長ホルモン補充療法 骨端閉鎖前の治療の必要性,Catch-up現象

60)食事と薬物 ワーファリンと納豆,  ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(ニフェジピン他)とグレープフルーツ、既に書いてあったかな?

61)向精神病薬と不随意運動,悪性症候群

62)クロザピン使用上の注意

63)妊娠と薬物--特に催奇形性が問題となる時期,非ステロイド系消炎鎮痛薬と胎児動脈管

64)ウイルス性肝炎の薬物治療 インターフェロンの効きやすいC型肝炎ウイルスの型、HCVに対するインターフェロン単独治療が失敗した場合の治療--現在研究段階だが、リバビリンとの併用、ペグインターフェロン、B型肝炎に対するラミブジン使用上の注意

65)ラミブジンの適応疾患

66)ピロリ菌除菌療法に用いる代表的薬剤の組み合わせ、除菌療法後の胃・食道逆流症、逆流性食道炎

67)癌の薬物療法のうち、分化誘導療法--急性骨髄性前白血病とall trans型レチノイン酸、次いでに亜砒酸についても。

68)悪性腫瘍の分子標的治療薬

69)自己免疫疾患に対する抗体製剤

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