看護師に関する社会的問題


法律違反を美談として紹介

 某テレビ看護師特集番組内の紹介事例でした。
 無医村の診療所(月一度医師が来る)で,看護師が普段は健康管理に従事し,切り傷の縫合まで常勤の看護師がしたことが紹介されていました。画像回線で遠方の医師と連絡を取り,指示を仰いだ上でとは言え,縫合処置を看護師が行うのは,診療の補助とは言えない医療行為で,法律違反ではないかと私には思われます。それが美談として紹介されているのは理解に苦しみました。
 救命救急センターの特集でも,診療の補助と言うには行き過ぎと感じる医療行為をしている場面が映し出されていたことがあります。

 法律違反まで美談とされてしまうのは,感心できません。また,法律違反が公の目に触れているのに,捜査対象となったとか,法の裁きを受けたとかの報道が後日されていないのも不思議です。 


3K,8K,・・・・・

 きつい,きたない等,カキクケコと「カ」行の文字で始まる語句で看護師の仕事が形容されています。しかし,看護師だけが大変な仕事をしているのでしょうか。

・ 警察,消防の方たちも勤務が不規則で危険とも隣合わせで大変だと思います。
・ 深夜,早朝に海に出る漁師さんもご苦労様です。寒い季節は本当に辛い仕事でしょう。
・ 華やかなプロスポーツ選手だって,成績が悪ければ引退するしかないし,常に努力が必要な厳しい職業であります。
・ 芸能人だって,収録が不規則で,深夜にも仕事をしたり体力,気力勝負です。当然,一緒に仕事をするテレビ局のスタッフも大変な仕事です。

  楽な仕事などないといっても過言ではないでしょうか。看護師だけが世の中の大変な仕事を一手に引き受けているとも思えるようなマスコミの取り上げ方には多少疑問を覚えます。もちろん,看護師も大変な仕事とは思いますが,看護師だけが話題となるのは気になります。視聴率が上がるなどの理由はあるのでしょうけど・・・。


看護師の給与

 医療従事者の給与は,職種を問わず,資格を取るのに何年間かそのための学校へ通わなければならないし,専門知識や技術が必要です。危険を伴なったり,人命に関わると仕事で責任を伴なったりという面からも,それ相応の労働に対する賃金が望まれます。その点,医療従事者の給与は他の仕事より,求人雑誌を見ると安くなっているとように感じられます。

 看護師の給与で疑問に感じるのは,看護師の給与は,例え健康診断施設,診療所の外来勤務であっても,特別高度の知識や技術を要するような仕事でなくても,臨床検査技師より若干高くなっていることです。臨床検査技師だって3年以上通学し,「合格率5-6割」とか資格試験一覧書に書かれているほど資格取得が困難なのに,看護師より賃金が安いのは不自然です。診療放射線技師の場合には,放射線という危険なものを取り扱うので,その分高くなっていますが・・・・・
 看護師不足で人員を確保する都合上,他の施設に横取りされないためにも,雇用側としては看護師の給与を高めにしなければならないのかもしれませんが, 他の職種には不満を与えるでしょう。


看護学生の病院(病棟)実習

 看護学生が病棟で実習をするというのは,建前としては現場に触れ,学校で得た知識を実践する中で学ぶということなのでしょう。しかし,実際には,洗髪や清拭といった日常生活の援助,介護など,資格を取得後にはあまりやらない業務を看護学生が代行していないでしょうか。これらの業務は職員である看護師はあまりしていないように思えます。就職後は診療の補助の占める割合が大きくなるでしょう。
 学生に受け持ってもらえた患者とそうでない患者が受けられる看護サービスにも差が生じてきます。

 このような背景を考える場合,もはや「実習」ではなく,実習と言う名を借りたただ働きと言っても過言ではないでしょうか。お金を払って勉強すると言うのはこうなるとおかしく,労働に対する代価,給与が支払われるべきさとさえ感じます。

 無資格の学生に,責任を伴う仕事はさせられないと言う側面は考えなければなりませんが,実習方法を考え直す必要があるかと思われます。資格取得後にあまり行なわない業務をたくさんやらせるのは効率的な教育ではありませんし,それならばその時間を医師による医学の講義に移行させた方がよいかもしれません。現状では,医学の講義が時間制限のために,非常に中途半端になっている場合がないでしょうか。

 


大学での看護教育

 最近は大学で看護教育を行なおうとの動きがあります。しかし,大学で教育を行なうと,専門学校と異なり,「大学生」の肩書きを手に入れることだけが目的の受験生が合格,入学する危険があります。看護師として働く意志のある人だけが入学すべきとの意見には反論もあるでしょうが,国公立の場合,設立者,運営者の立場で言えば,卒業者が看護師にならないのでは困りますね。何せ,税金で運営しているのですから,社会の目を気にしなければなりません。

 教養が得られるなどの利点を強調する方もおられますが,4年制大学でなければ教養や人格形成が出来ないならば,自己努力が出来ないような人なら,看護師には不向きとも考えられます。

 看護を深く大学で学ぶというよりは,看護師以外の資格,保健師などの国家試験受験資格を同時に得られる場合は,資格を複数得るのに都合のよい場所にしか過ぎなくなりかねません。

 また,医学部とは異なり,大学の付属病院の職員と教育機関としての大学の職員が兼任で同一でないと,実習に関して問題も生じ得ます。他の人から聞いた話ですが,ある大学では「××人以上,うちに就職しないなら,学生の実習はお断りする」と看護部から圧力があったとの話も聞きました。


看護師の看護

この箇所に限ってはふざけて書いていますのでご了承の上,お読みください。

 

(1)

職場と労働条件について話し合い,適宜休憩時間などを入れてもらう。人員不足で一人あたりの負担が大きいならば,人手を補充してくれるよう雇用主に相談する。

(2)

上手に休息,ストレスを発散する方法を体得する。仕事中には,状況に応じた緊張度とし,過度に緊張しないようによる。

(3)

居住地を病院の近場とし,通勤による体力消耗を軽減する。

(4)

体力を要する仕事なので,栄養素のバランスの取れた食事を十分量摂取する。

(5)

家事のために体力が残らないなら,家族の協力を得たり,便利屋,家事代行業を利用する。

(6)

どうしても適応できなければ,幸い看護師の求人は多いので求人雑誌や人材バンクを利用し,転勤を考慮したり,転職も考える。

とかなるのでしょうか。確かにきつい労働条件とは思いますし,ここで列記したことが容易とは考えられませんが,看護師養成課程で習う「---(病名)---の看護」に準じて書くと,このような感じだと思いませんか。卒前教育で習う「看護」が適当か,考えるきっかけになるでしょうか。


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