医療随想


2012年末日 年末のご挨拶
 多忙のため気が付くとこちらの随想は更新をしていませんでした。掲示板についても各種相談サイトができているためか私の掲示板も含めて個人開設の掲示板には書き込みが少なくなっているみたいですね。あるいは掲示板依存自体が社会の成熟により少なくなっているのかもしれません。ひところは何でも掲示板や個人のサイト管理人に質問する人が多かったのですが、ネットの使い方を社会が学習してきたのかもしれません。
 一部の方はときどき私の掲示板をご覧になってくれており、ありがとうございます。これからもほかの人が書き込みをした時など意見を述べるなどしてくださると光栄です。
 それではどうか皆様よいお年をお迎えください。


2012年1月(1) 掲示板書き込みの減少
 最近は掲示板の書き込みが減っています。教員の学生いじめが減っているなど教育の異常さが軽快しているのであればよいのですが、長年の看護教育伝統ですからそうではないと想像しています。学生が看護教育はこういうものだと割り切り、いざというときのために本サイトで提案しているような対策を講じていて、落ち着いた対応をとっているのかもしれません。指導とはとてもいえない、社会一般の感覚からして悪質な嫌がらせを繰り返し受けていたら、犯罪になる場合もあります。被害者でまだどうしてよいか分からず悩んでいる人は、いじめの日時、内容、証言をメモしておき、その上で自分をどうしたいのかよく考えておいて下さい。いじめを止めてくれればよい、苦痛や被害に対して損害賠償を請求したい、刑事事件にしたいなどよく考えましょう。大学など看護師以外の教員がいるところでは、事実関係が確認できれば問題教員を停職処分にするなど学校側も対応をとってくれる場合があります。泣き寝入りをするのではなく、準備をしておきましょう。

(2)看護学生の学力の低下
 他サイトの掲示板をよんでいると、「この人は専門教育にそもそも向いていない」という人がいます。どうやら授業の勉強方法が分からない、学校の授業についていけない、国家試験の勉強方法が分からないという趣旨の書き込みらしいのですが、作文が悪くて相談者の状況がよく分かりません。他の医療系職種の教育課程異なり入学試験が簡単で学業成績が悪くても入学できるというのが一つの原因かもしれません。大学の場合には一定の学力を要求されるでしょうが、専門学校では要求水準が下がると思われます。さらに専門学校によっては入学試験者全員が合格なんて学校もあるらしいです。これでは授業についていけない学生でも入学してしまいます。
 看護学生は他の医療系学生に比べて数が多いので、各種の学生用参考書が発売されていて勉強もしやすいはずなのですが、今度は「どの参考書がよいのか教えてほしい」という掲示板書き込みを他サイトでよくみかけます。「それくらい自分で書店で見比べて自分で選べないのか」と思ってしまいます。それに看護学生向けの参考書と言うのは、看護学生は他の医療系学生に比較して理解力が劣るとの前提で作られています。出版社では著者となる医師が原稿を執筆しても、「看護学生相手なのだから、やさしい文章に書き直してほしい」と頼む場合もあるらしいです。そうしてできた参考書で分からないとなると、もう専門教育を受けるのは無理と言われても仕方ありません。
 全然勉強が分からないという人は休学して、本来は小学生や中学生を対象とした学習塾に通ったほうがよいかもしれません。何もふざけて言っているのではなく本当にそう思います。学習塾と言っても単純な補習塾、進学塾ではなく、基本的な勉強法、何かあったら自分で調べて考えて行く方法を指導してくれる塾がよいと考えています。生徒の学校の成績自体を伸ばすというより、基本的な学習姿勢を教えてくれるところです。一見遠回りになりますが、看護の教育課程の勉強だけでなく、日常生活の他の様々な面でも判断能力が養われて、きっと以後の人生に役立つのではと思います。


2011年12月 実習で看護師の対応に疑問を感じた時
 詳細は述べませんが先日、他サイトの掲示板で患者の容体で気がかりな点があるのに看護師が放置しており、「こういう場合には看護師は何もしなくてよいか、放置する対応は適切か」と質問する書き込みがありました。質問文内の情報が少なく詳細は不明でしたが、例え専門知識がなくても現場看護師に連絡した方がよいと思われる事態でした。それなのに看護師に連絡せず、掲示板で質問するというのは問題に思われました。現場看護師が忙しそうだったからというのが、実習先の看護師に話さず掲示板で質問していた理由らしかったのですが、これはいけません。患者の利益を考えたら。そして医療機関側、実習生の利益を考えたら、実習先の看護師に連絡するのが無難です。もし心配のしすぎで介入不要と言うのならば、それに越したことはありません。しかし。大きな異常の前触れだったとしたら、どうでしょう。自分は学生だから、実習生で責任は現場指導者にあると安心してよいでしょうか。患者さんが余計な苦痛に悩むとしたらどうでしょうか。患者の不利益にもなれば、後で調査が進み学生にも報告を怠った責任があると判断されて学生も辛い思いをするかもしれません。学校から処分を受ける、患者や家族から民事上の責任を問われるかもしれません。学生はまだ無資格だから刑事上の責任はなくすべて指導者の責任とは社会は判断してくれないかもしれません。
 掲示板の使い方について今一度考えてみましょう。




2011年10月 国語力不足 & 調べ方を知らない?
 他サイトの掲示板書き込みをみていると、何を質問したいのかがよくわからない質問文が書き込まれていることがよくあります。そういう質問には答えてくれる人は少なくなります。応えてくれる人がいても、質問の内容を確認することからはじまるのですぐには求める回答にはたどり着けません。
 国語の授業をしたら結果として他の教科の成績も向上したという話はときどき見聞きするのですが、看護学生も国語力の改善に取り組む必要があるかもしれません。専門学校など比較的低い学力でも入学できる、ひどい学校だと受験者全員が合格という場合もあるみたいですが、こんな状況だと専門知識の理解の前提となる国語力の不足した学生が多く入学してきてしまう懸念があります。
 調べ方にしても、文章を読んでいてこの単語、この用語の意味が分からないというとき、何でも他人に聞いてすませる人は自分では調べられません。一定の読解力のある人なら国語辞典を調べる、国語辞典では分かりにくければ適当な関連図書を調べます。この分野の本で分からなければ、関連する別のこの分野の本をみようという柔軟な対応がとれるのですが、国語力がない人や成績の悪い人はそれができないのではないでしょうか。
 国語力は要点の理解にも重要です。成績の悪い学生は教科書や講義の要点を国語力不足から掴めないという面もあると思われます。平坦な記述の教科書を読んでもどこをまず覚えるかが分かりません。逆に適当に「こんな感じ」と覚えておけばよい事項まで丁寧に覚えているかもしれません。理解力のある人は要点を押さえて読み、丸暗記する分量を減らしているはずです。長文または大量の文章を読むときにも、上手く全体的な流れを理解しています。これは専門書を読む時も、一般書を読む時も同じです。
 看護師国家試験の状況設定問題など結局は出題者の意向を読みとる国語の問題と言ってもよいくらいです。国語力の改善に努力してみましょう。外国語学習も国語力あってのものです。
 


2011年7月 高校までの教育との違い
 他の掲示板に書かれる質問を読んでいて感じることがあります。それは高校までの教育との違いを理解していない人が多いということです。高校までは問いに対して確実に正しい一つの答えがあるという形式です。専門教育でも講義レベルや筆記試験では、少なくとも学術的な医学の試験では高校までと基本的に同じです。しかしその一方で明確な正解の分かっていない事項はたくさんあります。実習やレポートの時に「○○について調べたがどこにも書かれていない、知っている人がいたら教えてほしい」と掲示板に書き込まれていますが、自分なりに考えて書くしかなさそうと思える場合が多くあります。何でも分かっているなら研究者があれこれと研究をする、学会開催なんて不要ですよね。実は現代でも分からないことだらけです。特に看護の場合、看護師各人の好みが正解という面が強く、科学的な検証がされていないか科学的検証に向かない場合も多いでしょう。また、教科書や参考書の丸写し、ネットからコピー&ペーストをさせないために、自分で考えさせるために何処かを見ればすばり答えが書かれているというテーマを出さない場合も考えられます。教科書や参考書、ネットで調べても答えが見つからないと掲示板で質問するときには、専門教育について今一度考えてみましょう。


2011年 6月 掲示板書き込み上の注意
 掲示板は公の場です。くれぐれも書き込む内容にはご注意ください。具体的な学校名など入れてしまい「速やかに削除願いします」などと言われても、必ずしもすぐには対応できません。削除するまでの間に学校関係者にみられてしまうおそれがあります。何度も今までに注意を促しているにもかかわらず、このような例がなくなりません。学校から投稿者特定のための協力を求められたら、それに応じることも考えなくてはなりません。世間から「こんな人では学校側ではなく学生側に問題がありそう」と思われないためにも、十分に注意して下さい。



2011年 2月 他人のハンドルネームをまねて発言
 先日、他のサイトの掲示板で、私が使用しているハンドルネームに若干の文字を加えて、似た名前で発言している人がいました。発言内容は悪意のあるものではなかったか、私の発言内容をまねていても悪質とまでは言えないものでした。そして、掲示板に書き込んだ人は軽い気持ちだったと思われます。ただ安易にこのような真似をするのは慎むことを皆様にはお勧めします。インターネットの匿名性を過信して悪戯をしていると、しだいに歯止めが効かなくなるおそれがあります。掲示板で悪戯の書き込みをして警察に威力業務妨害、脅迫などの罪で逮捕されている人が大勢います。そんなふうにはなりたくないですよね。そこまでいかなくても掲示板サービスによっては、いわゆる荒らし対策を講じているところがあります。悪質な利用者と判定されれば書き込みができなくなり、言いたいことが言えなくなる場合があります。自分にとっても不利益になるのですから、悪ふざけはやめておきましょう。

 
2011年1月 国家試験の医学用語の英語併記
 先日、書店で看護師国家試験の問題集を手に取りページをめくると、病名のところに英語表現が併記されていました。外国人受験者の合格率があまりに低く、難しい医学用語は英語を併記するという対策が検討されているとの話を聞いたことがありますが、それを反映してのことだと思われます。ただし外国人の合格率を上げるためにという目的の手段として、これが本当によい方法なのかは考える必要があると思えました。言語の壁という要因で不合格になっていた人の一部は確かに合格てぎるようになるかもしれません。しかし、日本社会で働く以上、日本語が必要になります。医師とは英語まじりでやりとりができますが、多くの看護師は英語の医学用語まで覚えてはいません。外国人看護師との意思疎通に英語が必要だとして、日本国内で働く看護師が英語の医学用語まで努力して覚えてくれるとは思えません。日本人の患者とは日本語でやりとりをしなければなりません。外国人看護師ではあっても日本語の医学用語が分からなければ、日本での仕事には差し支えがでます。自国の人材を提供してきた国に対しての日本の配慮というのもあるのでしょうが、英語を併記するというのは安直な気がします。さらに英語を併記すれば本当に外国人看護師の合格率は上昇するのでしょうか。その検証も必要に思われます。病名については専門用語が分かってもそれ以外の一般日本語の部分で苦労しているのかもしれません。外国語で医療関係勉強をし始めたときには、専門用語以外でも辞書に頼ることが多かったりするものです。臨床医学知識の基本は同じだとしても、公衆衛生学については、日本人でも難しいのに外国人にとってはさらに難しく、これも合格率が低い背景にあると思われます。



2010年12月 Nurese prctitioner、医療行為のできる特定看護師資格を作るという議論

 医師不足を背景に看護師にも一定の医療行為を認めようという議論があります。それに対しては賛否両論ありますが、私としては、看護師というだけで各種医療行為を認めるのには患者に対する安全面で疑問があります。看護関係の掲示板を見ていても、専門職にふさわしくないと思える人はときどきみかけます。自ら勉強し、必要な知識は適宜調べて得て自らの頭で判断するという能力に欠ける人は少なくありません。診断を下し治療方針を決める訓練も看護師は受けて受けていません。いたずらに業務範囲を拡大するのは危険を伴います。知識や技術は教育課程を作って教育すればよいとも言えますが、これにも問題はあります。看護師になるのにすでに一定のお金は必要です。奨学金の返済がまだ必要な人がいます。看護師資格の上にさらに修業年限が必要だと、金銭面で恵まれた人しか進学できません。看護の課程では貧しい人も多く、生活のために看護師になっている人もいます。
 法律の定まる前にNurse practitinoerの課程を大学院に作っているところもあるようですが、看護師としての実務経験が数年以上という人を入学対象としてしまうと、社会人入学という難しい状況になります。一度社会に出て自立したのに、また親に学費を出してとは言い辛いし、自分もまだ貯金がないという場合もあるでしょう。
 看護師だけが医療行為の幅を拡大というのも問題で、他の医療者からは反感を買うと思われます。同時に他の医療関係職にも、それぞれの職種に応じた業務権限の拡大が必要でしょう。しかし、看護師の診療能力を疑問視する声があるのと同じく、他のメディカルに対しても診療能力の疑問はあります。臨床検査技師に病理医の仕事を一部してもらうことについての反対意見をどこかで読んだことがありますが、看護師以外のコメディカルも臨床の勉強は十分ではないでしょう。
 医師不足の問題を少しでも解消し、コメディカルが単純業務限定で勤労意欲が低下するといったことがないよう、もう根本的に医療関連の資格や権限、教育課程を見直す時期にきているのかもしれません。いっそのこと、医師国家試験その他の医療系資格は特定の教育機関を卒業しなければ国家試験は受けられないなんてことはやめて、能力のある人は誰でも受けさせて免許も認めるなんて大胆さも必要かもしれません。医師国家試験に合格したコメディカルはプライマリケアレベルの診療はしてよいとか、具体的にできる薬剤処方や処置を限定して認めるとかなんてことがあってもよいかもしれません。もちろん乱暴な意見で、様々な反対意見はあるでしょうけど。


2010年10月 国語力の低下

 今回も他の看護系掲示板をみていて感じることですが、書き込みをする人の国語力が低下しているとの懸念を持っています。学習上分からないことが出てきて質問するときには、自分なりに調べたのか以前に質問の意味が分からず答えようにも答えられないときがあります。そして、質問の意味が分からないという回答が書き込まれていることがありますが、なぜかこのような書き込みは後日、自主的に削除したのか後日になると消えてなくなっていることが多いです。冷たいと批判することがいるからかもしれませんが、真相は分かりません。さて話を元に戻して作文力の低下に戻すと、自費出版なのか単に自分の意見を読んでほしいのか、看護学生向けの本を作り掲示板で広告を出している人がいましたが、内容の紹介文を読んでも、話の筋道が分からずに何に書いているのか分からないということがありました。

 他にも感情的になっているまま書き込んでいるのか、作文自体は悪くなくても文章が掲示板投稿にしては非常に長いものがありました。発言場所を考えて取り上げる内容の選択もしなければなりません。

 一生単純労働的作業をするのであればともかく、専門職として仕事をしていくには一定の国語力、作文力が必要になります。仕事で書類を書くときにも先方に理解してもらえなければ、患者の不利益になるかもしれません。主張したい事項や独自の発見があっても学会や専門雑誌への投稿は、内容以前に読める文章でなければそれだけでボツになってしまいます。予備校、出版社などで働くときにも国語力は大切です。

学生時代から良い文章を読み、それを頭の中でまねて作文してみるなど文章力をみがいておきましょう。


2010年9月 他の看護系掲示板をみていて

 他のサイトの掲示板について最近思うのですが、質問や相談に対する回答が書き込まれても、最初に書きこんだ人が何も言わず、一言の御礼もない場合が多いです。私以外の人の回答でも同様です。質問や相談が書き込まれた後の数日間に回答が書き込まれた場合も同様です。いくら御礼を言われるのが目的ではないとしても、これでは質問や相談が掲示板にあっても「自分でどうにかしろ」と思ってしまいます。そのせいもあってか、掲示板を見ている人はいるだろうに、質問や相談に答える人は減りました。

 もうひとつ最近の傾向として、書きこに対して回答を一度は書きこんでも、それを自主的に削除する人の多いことがあります。学習上、自分で調べれば分かることに答えてしまったが、やはり自分で調べてもらおうという理由から削除したのではないかという場合はあります。それならば理由は分かります。しかし削除理由がよく分からない場合もあります。理由はともかく、送信ボタンを押す前には自分の作文をよく考える習慣をつけたほうがよいと感じます。公の場であるネット上で迂闊な発言をすると、取り返しがつかない場合があります。自主的に書き込みを削除できる掲示板でもバスワードの設定が必要で、それをしないと管理人に頼まないと削除できません。それまでに、そのまずい書き込みを他人に見られ、発言に対して責任を負わなければならないということも、最悪の場合は考えられます。十分に注意したいところです。


 

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