患者として,関係者として看護師を見ていて気になった点を列記すると・・・

学生対象というより,現場の看護師を対象として,日常業務に関して感じていることを書きました。患者の立場で書いている事項もありますので,御参照下さい。


1)病気に関する質問事項に対し患者が正確に答えられたとしても不信に思うのではなく「この人は医療関係者かもしれない」と考えるようにしましょう。敢えて職業,素性を明言しないで受診している場合があります。私の印象では,他の職種は「詳しいですね」と言うか医療関係者と気付きやすいのに,看護師は不信感を抱きやすいように思えます。


2) 新規入院患者の看護記録を書く際の留意点

  ・他の患者さんがいる病室でプライバシーに関わる話などさせないで,可能な限り別室を用意しましょう病室で話すのが当然などと思ってはいけません。

  ・患者さんには本当に必要なことだけを聞きましょう。起床及び就寝時間,就業時間その他の一日の過ごし方ついては,本当に全員に聞く必要があるか考えてみましょう。患者さんの中には「なんでそんなことまで話す必要があるのか。病気の治療と関係あるのか。」と考えながら,いやいや答えている人がいるかもしれません。患者は全て話すのが当然と思ってはいけません。どれだけ患者の看護に役立てているかも考え直してみましょう。

  ・患者にも分からない事をしつこく尋ねて無理に答えさせようとしてはいけません。学生(実習生)に看護記録を書かせる場合,患者さんに記憶がないから詳しく書けないだけなのに,「記入内容が不十分」として,家族歴,既往歴等をもっと詳しく聞いてきて書くように指導する看護師がいます。しかし,しつこく同じことを聞かれる患者にとっては大変迷惑です。


3)採血後には十分,止血のための時間を患者さんにはあげましょう。バンソウコウを貼るだけで圧迫する時間的余裕をあげず,次ぎの指示をする人が中にはいますが,採血部位に大きな紫斑が作られてしまい,完全消失まで2週間かかるような場合だってあります(私は被害者)。


4)申し送りについて

 ・相変わらず伝統を重んじて起立が当然とは思ってませんか。もしも,まだ古い慣習が残っていて,そして現在体力面で看護師はつらい仕事というなら,体力温存のため座ってやりましょう。

 ・そもそも従来の引継ぎのための「申し送り」は本当に必要でしょうか。もう少し要領よく,要点を捕らえて話し,短時間で話せないものでしょうか申し送りを廃止したことを求人広告に書くところもあるので,申し送りの効率が悪かったり,評判は悪いのではと思われるのですが・・・

  引継ぎを全面廃止するのはどうかとは思いますが,本当に大事な点だけを強調して短時間で話し,詳細が必要ならば看護記録を見るのも一方ではないでしょうか。大所帯で病棟内を区分けしている場合は,担当区域外のところについても,「特変なし」とかあまり重要でない情報を長々と聞くのは,あまり効率的とは思えないのですが・・・。人手も時間にも余裕があれば別ですが,そのどちらも満たされていない現状では,従来の申し送りは見直した方がよいように私には思われます。 


5)学生実習を受け入れている病棟では,学生が受け持ちにならなかった患者と受け持ちになった患者の間で不公平が出ないよう,十分注意しましょう。「同じお金払って,なんでこんなに受けられるサービスが違うのだ!」と文句を言われないように注意しなければなりません。

 看護学生の実習って,看護の実習と言うより,実際に就職してからはあまりやらない介護ばかりやってて,看護の実習ではないよう感じもありますね。勉強のための実習と言うより,俗語っぽい表現を用いれば,ただ働きで介護の仕事をしているような感じ。責任を伴なう仕事を学生にはさせられないし,指導は面倒だとしても,どうにかならないものかと思ってしまいます。


6)病棟実習に来ている学生に対し,「電話には出る」よう指導する看護教員,現場の職員がいます。その際,「××病棟です。学生です。」と言って電話に出るよう指導する方がいました。しかし,考えてみると,「学生です」と言われた相手はどう思うでしょう。「学生では要領が得られない,不安」「正規の職員でないなら電話に出ないでほしい」とか思わないでしょうか。私ならそう思うでしょうし,正規の職員はいないか尋ねるでしょう。勿論,伝言を学生に残すと言う選択肢もありますが,電話応対を要求される学生は勝手が分かりませんし,発信側も対応に困ります


7)手術後の痛みについて,患者さんに「まだ我慢できるか」尋ねるのはやめましょう。術後疼痛に警告反応の意義はないこと,早期治療が大切なことは,麻酔科の教科書に書かれています。「我慢できるか」と聞くのは「我慢しなければならない」と言っているようなものです。例え学生時代に看護教員から「術後疼痛の看護は我慢させること」と習っていても,それが本当に適当か考えましょう。


8)新聞の投書欄,インターネットその他に投稿,書き込みをする時は,その文章をよく読んでから提出しましょう。どう見ても内容の展開に無理があると思えるものがあります。医師が看護師に対し苦言を言ったりする場合の看護師からの反論には,論点をずらして答えているのではと思われる場合,筋の通らない文章ではと思われる場合があります。勿論,すべてがこのような文章ばかりではありませんが。幸い,私のホームページへの書き込みは,ほとんどの場合,冷静に書かれているのでうれしいです。


9)職場での医師との不仲についての発言をインターネット上でしばしばみかけますが,医師側に問題がある場合もあれば,看護師側にも問題がある場合があるのではないでしょうか。医師に意見を言うとにらまれるとの話はありますが,何か言い方に問題はないか,正しいことを言っているのか考える必要があるような気がします。過度の看護賞賛的教育を受けて看護師になる結果(表紙に戻って「看護教育の問題点」参照),看護師のプライドが高くなり過ぎて,他の職種との協力関係に歪みが生じているようにも思えてしまいます。

 医師に限らず,他の職種はそれぞれ専門の教育を受けています。医師は診断・治療について,薬剤師は薬について,臨床検査技師は検査についての専門家です。いずれも看護師とは異なる職務,専門があります。その人達の役割を評価しましょう。誤りがあると思われ,何か発言する場合でも,学生時代よく聞かされたように「相手の立場に立って(相手が患者さんでなくても)」話しかけましょう。看護師だって,自分達の仕事の看護業務について他の職種からいきなりアーダコーダ言われたら嫌ですよね。


10)入院患者に異変があった場合は,適宜主治医に連絡しましょう。医師が後で患者から話を聞いて,自分は何も聞いていないと驚く場合があります。医師に連絡されていると患者は考えて,ひたすら我慢している場合もあります。「看護師と異なり医師は患者と接する時間が短い」と言うのではなく,患者のために必要に応じ情報交換すべきでしょう。


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