<調べ物の方法>



 看護学生のためのインターネットの掲示板投稿を読んでいると、分からないこと、知らないことがあるとすぐに掲示板で質問をする人が多くいることに気付きます。専門教育、高等教育においては自分で勉強する態度が要求されますので、知識の入手方法をいくつか紹介しておきます。

<検索方法>
・図書館で成書(標準的な本と考えて下さい)を調べる。

・図書館で雑誌の医学雑誌、看護学雑誌のバックナンバーを検索する。バックナンバーとは平たく言えば今月号、今週号より前の巻、号です。図書館では最近のものは今月号、今週号の裏側においてあり、更に古い物は製本して別の書架においてあります。

・書店で自分の必要な情報が書かれている本を購入する。

・友人の参考書を借りる、必要な頁をコピーしてきてもらう。身近な同級生などに相談、教えあうという姿勢も必要である。卒業、就職直後には職場で必要な知識を同僚や上司に聞けずに掲示板に頼る人がいるが、学生時代に協力し合う努力をしてこなかった人なのかもしれない。

・インターネットで検索する。この場合は当然、信頼性が問題となるので、医療関連の学会、研究会、研究所、公的機関などのものを参照するとよい。これらは医学書出版社などのリンクからも調べられることがある。調べる内容によっては、各医療機関や大学の教室、医局などで作っているホームページも参考になる。日本国内だけでなく、米国のものなど英語のホームページも調べられるとよいが、日米の考え方の差などは考慮しなければならない。

PubMedという医療関連の論文、総説、原著論文の検索できるサービスがあり、無料で利用できる。ただこれは英語文献の検索となるので医学用語辞典や専門用語の英和辞典は用意しておくと必要があるのと、英語が全くダメな人は使えない。とはいっても、英語を避けていてはいつもまでは外国の文献は読めないままである。ただし、英語の文献を出すと、英語の文献を読めない看護教員からは嫉妬される危険性はある。
 日本語の文献検索サービスは私の知る限りはまだインターネット接続があれば無料で誰でも使えるとはいかないようである。

・看護学生向けの図書で分からなければ医学生、医師対象の図書を調べる。特に医学知識を得たいときはそうである。ただし、「ここは看護の課程」と言う看護教員かどうか相手を見極めて利用する。

・カタカナで考えると分からなくても、英語のスペルを想像して辞書で意味を調べたり、文献の英語索引から調べると分かることがある。

・略語については略語集や医学教科書の索引を利用してもよい。

・病院実習中の場合には、病棟備品としておいてある参考書もみてみる。病院図書館も利用する。



<掲示板で質問するときの注意>
・匿名の誰かに答えてもらっても、信頼性は問題になる。答えてくれる人がいても確認作業は必要。情報利用の責任は自分が追わなければならない。すなわち、最終的には自分で調べなければならず、情報利用の責任は自分で負わなければならない。患者に適用する情報では、その患者に対する安全性にも責任を負うことに注意が必要。
 掲示板では悪戯で適当な回答をする人がいないとは言えない。故意にではなくても、誤った内容を含む回答は少なくない現実がある。しかも、それに対して正しい情報を伝えようとすると、逆に嫌味を言われるなどして掲示板書き込みがしにくい。

・参考文献を書くように言われたレポート提出では「参考文献 掲示板回答」というのは認められるか疑問。これはインターネットホームページでも同じで、公的機関、学会のホームページなど、信頼度の高いものでないと認めてもらえない危険がある。参考文献が書かれていない場合には、信頼性の高い情報源を自分で調べたのか疑われる恐れがある。

・すぐに誰かが答を書いてくれるかは不明。「すぐに答が知りたいときには掲示板で質問してよい」との考え方の人はいるが、期限までに答がなかったらどうする? 「至急お願いします」と質問をする人がいるが、その場合でも、質問者の希望する回答をすぐに書いてはもらえない危険性は高い。

・インターネット掲示板では、、すぐに調べられるか答えの分かる事項を質問しても、専門課程、専門職にふさわしい学習態度のできている人の回答は調べ方の方法や注意点を述べるにとどまる傾向がある。「自分で調べろとは冷たい」と批判する人は、批判するだけで質問者の希望する答えを書いてくれないことが多い(他人に何でも教えてらえばよいという人は知識量が少なく、知らないことを調べる能力も低いので相談に応じる能力が低い??)

・専門教育、高等教育では自分で勉強するというのが基本的な姿勢となる。何でも人に教えてもらうという姿勢だと、教員に与える印象は悪くなる。

・他の医療系学生と異なり、看護学生の場合はほぼ定時に帰れるでしょうから、「時間がないから調べられないので掲示板で聞くのはよい」という考えは認めてもらえないかもしれない。

・「どこをどう調べても分からなかった」と断り書きをしても、十分に調べずに質問の書き込みを掲示板にしていれば、勉強している人にはそれがすぐに分かる。

・掲示板で質問するときは、何をどこまで調べたが書いた上で質問するとよりよい。

・インターネット掲示板は、教員が巡回、監視しているかもしれない。学生が自分で調べずに掲示板回答をレポートなどに書き写した場合、不正にレポート作成代行業を使用したのと同様に評価される恐れがある。最悪の場合、単位を認めてもらえず落第という危険さえある。

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