生 化 学 |
生化学は,私にとっては,試験の山を絞るのが難しいのですが,基礎医学を学んでいる段階の初学者にはもっと難しいでしょうから,とにかく,私なりに試験問題の作りやすい箇所を考えてみました。分野の偏りや臨床との関わりを意識しすぎたりしている面はあるかもしれませんが,参考にして下さい。どっちみち,臨床医学を学ぶことになりますしね。
・二糖類の作る単糖類の名称と分解酵素名
・血糖値を上昇させるホルモンと低下させるホルモンあるいは生理活性物質
・インスリン,プロインスリン,C-ペプチドの関連--β細胞から分泌される以前の代謝過程
・糖尿病と蛋白の糖化--糖化ヘモグロビン,フルクトサミン,糖化アルブミン
・糖尿病と1,5-AG
・ケトン体とはどの物質を総称して言うか。(関連事項-糖尿病性ケトアシドーシス)
・腎性糖尿と腎臓の糖排泄閾値
・アルドース還元酵素と糖尿病
・リポ蛋白の基本構造
・HDLの抗動脈効果作用,多く含まれるアポ蛋白,コレステロール逆転送系
・VLDL-IDL-LDLの代謝,多く含まれるアポ蛋白,レムナントリポ蛋白
・LDL受容体異常と家族性高脂血症,ヘテロ接合体の頻度(1/500)
・VLDL,カイロミクロンと高トリグリセリド血症,食事由来のTGはどちらへ?
・トリグリセリド(中性脂肪)の構造--グリセリンと脂肪酸
・高トリグリセリド血症と動脈効果との関連,低HDL血症との関連
・コレステロール合成の律速酵素 HMG-CoA還元酵素
(関連事項) 高脂血症治療薬 HMG-CoA還元酵素阻害薬,律速酵素とは?
・LP(a)と動脈硬化惹起作用
・動脈硬化と過酸化脂質,泡沫細胞
・必須脂肪酸の名称
・多価不飽和脂肪酸,単価不飽和脂肪酸,飽和脂肪酸の名称
・エイコサペンタエン酸と動脈硬化性疾患,出血傾向,脳出血
・β酸化
・コラーゲンの基本構造,特に多く含まれるアミノ酸
(関連事項)骨粗鬆症の臨床検査項目 骨代謝マーカーはコラーゲン代謝産物を見ているものがあるので参照する。
・尿素回路
・アミノ酸の基本構造
・含硫アミノ酸,芳香族アミノ酸,分岐鎖アミノ酸を列記
・フィッシャー比と肝性脳症
・ニコチン酸,セロトニン,メラトニン合成の基になるアミノ酸
・メラニン,チロシン,エピネフリン(アドレナリン)合成の基になるアミノ酸
・必須アミノ酸(あめふりひといろばす),「必須ではないアミノ酸を書け」と出題されても対応できるように。
・蛋白質の一次構造から四次構造までを説明できるように
・酵素の基質特異性
・ミカエリス・メンテン定数
・次の酵素が多く存在する臓器,組織
ALT(GPT), AST(GOT), ALP, 酸性phosphatase, CK, LDH, アルドラーゼ,アミラーゼ--いずれも臨床検査として測定される。略語も医師ならば誰にでも分かるものなので,記憶する。略語の元が分からなければ,略語辞典,臨床検査医学(臨床病理学)の教科書で調べる。
・酵素のアイソザイム,および臨床診断での利用
・各消化酵素の基質と分解産物の名称 アミラーゼ,トリプシン,ペプシン他
・消化管ホルモンの名称と主な作用--ガストリン,パンクレオザイミン-コレシストキニン,モチリン,vasoactive-intestinal polypeptide(VIP)等
・胃酸の分泌刺激--副交感神経(アセチルコリン),ガストリン,ヒスタミン--内科や薬理学の教科書参照
・胆汁の作用,脂溶性ビタミン
・胆汁酸の名称
・ステロイド核を有する物質-所謂ステロイドホルモン以外には何が有る?
・水溶性,脂溶性ビタミンの名称列記
・各種ビタミンの欠乏により起こる疾患--B12と悪性貧血(巨赤芽球性貧血)他多数
・ビタミンB12吸収に必要な因子の名称
・抗酸化作用のあるビタミンは?
・ビタミンK, Gla
・微量元素欠乏 亜鉛と腸性肢端皮膚炎は有名,不適切なIVH(中心静脈栄養)では微量元素欠乏生が起こる。
・腸肝循環
・老化赤血球の処理--ビリルビン(直接型,間接型),グルクロン酸抱合,ウロビリノーゲン(一般的臨床検査 正常では+/-であることを記憶,陰性は閉塞性黄疸を疑う),
・黄疸の鑑別方法 肝・胆道酵素,増加するビリルビンの型,ウロビリノーゲンをどう評価するか調べる
・溶血性貧血とハプトグロビン
・ヘモグロビン 基本構造,成人型と胎児型の相違,ポルフィリンという名称も覚えておく,鉄含有蛋白
・鉄の移送蛋白,貯蔵鉄の名称は?
・Bohr効果,酸素解離曲線
・血液凝固 フィブリノーゲン,フィブリン,プロトロンビン,トロンビン
・線維素溶解系--tissue plasminogen activatorと臨床応用,plasmin, plasminogen activator inhibitor
・Protein C, Protein S欠損と血栓症
・赤色血栓と白色血栓
・血友病AとBで欠損する凝固因子
・造血因子 赤血球,顆粒球,血小板を増やす物質
・エンドセリンの血管収縮作用
・レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系,アンギオテンシン変換酵素(ACE)
(関連事項) ACE阻害薬,アンギオテンシンII受容体拮抗薬,腎糸球体への作用
・急性相反応蛋白の概念とこれに含まれる物質,生化学の教科書に記載が無ければ臨床の教科書参照
・Caを調節するホルモン,物質--一部は腎性骨異栄養症や骨粗鬆症の治療に用いられているし,中枢性鎮痛作用が考えられている物質もある。
・ビタミンDの活性化が行なわれる部位--肝臓と腎臓での水酸化
・甲状腺から分泌されるホルモン二つ ろ胞細胞と傍ろ胞細胞
・核酸の基本構造,半保存的複製と複製方向
・プリン体とピリミジン体--どの塩基を指すか
・尿酸代謝と痛風,キサンチン・オキシダーゼ
・イントロン(intron)とエキソン(exon)
・triplet repeat数の異常と疾患--ハンチントン舞踏病
・テロメアとテロメラーゼ,癌細胞での変化
・DNA修復酵素異常と色素性乾皮症
・発癌遺伝子と癌抑制遺伝子 家族性大腸腺腫症,網膜芽細胞腫等参照
・発癌機構 initiationとpromotion,遺伝子変異の重複と発癌
・P糖蛋白と抗癌剤耐性
・ミトコンドリアDNAと母性遺伝,細胞質遺伝--ミトコンドリア脳筋症,ある種の糖尿病
・制限酵素とは?
・RNAの種類
・転写,スプライシング,翻訳の意味する内容
・alternative splicing
・triplet 三つの塩基で一つのアミノ酸をコードしていることは記憶
・second messenger,--cyclic AMP, Protein Kinase, IP3,DAG等
・アラキドン酸代謝--phospholipase, cyclooxygenase, lipopxigenase, ロイコトリエン,トロンボササン--喘息の薬物治療,非ステロイド系消炎鎮痛薬との関連で記憶する
・トロンボキサンとプロスタサイクリン(PGI2)の血小板凝集,血管径に与える作用--相反する作用だが,どちらがどのような作用を持つのか
・内皮由来血管拡張因子- NO(一酸化窒素)
・PGE, PGF2αの作用,薬剤としての臨床応用
・免疫グロブリンの基本構造 Fab, Fc, 可変領域,定常領域,軽鎖,重鎖,κ鎖,λ鎖
・各免疫グロブリン(IgG, IgE他)の特徴
・特異動的作用とは?
・線維性蛋白の名称と存在部位
・carcinoembrionic antigen(CEA, 癌胎児性抗原),α-fetoprotein(AFP) --所謂腫瘍マーカーになっている。腫瘍マーカーの基本的用い方は?
・思い付くままに列記して来たら,結構な分量になってしまいました。医師には必要でも看護婦には不必要と感じる記述もあるでしょうが,比較的常識的な内容ですから,覚えておいて損はないでしょう。それに授業を担当するのは医師,医学者です。
・ 所謂試験の山が外れても,また,記載内容に誤りがあったりしても,当方では責任は取れません。当ページの利用者は各自の自己判断でここの記載内容を参考にして下さい。